20代は、導いて 30代は、励まして 40代は、寄り添って...②
あかつきARTクリニック院長 桑波田暁子先生のお話
2018年11月発行『i-wish ママになりたい 20代・30代・40代の不妊治療』
30代は励まして
患者さんの年齢では、37歳、38歳、39歳くらいの方が多く、通院されてる患者さんの平均年齢とほぼ重なります。
意外と2人目不妊の方も多く、1人目は自然にできたのに、2人目は体外受精をしても、なかなかできないという夫婦もいます。中には、精液所見がよくないというケースもありますので、2人目を望んでいるのに、なかなか妊娠に至らない夫婦は、ご主人も一緒に検査を受けて欲しいです。
また、年齢を重ねるごとに妊娠が厳しくなることは事実ですから、現状を話すこと、選択肢として、こういう方法があるよ、こういう方法もあるよと伝えて、そして「今が、がんばり時じゃないですか?」と励ましていくことだと思います。
十分に頑張っていることは、重々承知しています。でも、赤ちゃんがいる人生を考えるのなら、30代は、やはりがんばり時だと思います。
一緒に歩こう。大丈夫だよ。ちゃんと道があるよと、一歩ずつ歩みを勧められるように励ましながら、治療を進めることが大事だと思います。
40代は寄り添って
正直、40代の女性の妊娠は簡単には運びません。1つ年齢を重ねれば、それだけ厳しくなります。それは、よくいわれる卵子の質の低下ばかりでなく、子宮内膜症や子宮筋腫を持っている人も多く、より難しく厳しい状況で妊娠に臨むケースが多くなるからです。
そのため、中には妊娠に至らずに治療を終えるという夫婦もいらっしゃるでしょう。
例えば、採卵しようにも、なかなか卵胞が育たない周期が続けば、医者は「もう無理です」と言ってしまうかもしれません。無理と言われた患者さんも、何周期も採卵ができなければ、無理かなとは思うでしょう。でも、どこかにモヤっとしたものを抱えて、「本当に無理なの?」と立ち止まってしまう方もいます。
どう無理なのか? それが納得できることが大切で、新しい生活へ進むためには、きちんと区切りをつけることも大切です。
そうした意味では、40代の方には寄り添って、区切りのつくところまで、新しい生活へ進めるところまで一緒に歩くことが大切だと感じています。
幸い、40代の方も順調に妊娠をしてくださっていますし、40代だから妊娠しないなんて思ってはいません。
まずは、これまでの治療とその結果を検証して、どこに問題がありそうか、どこをクリアしたら可能性があるのかなどを話して、難しいこともあるよとわかっていただきつつ、次の治療周期の計画を立てていきます。
一緒に歩こう
治療に当たって、不妊症だから薬が必要だということではありません。できるだけ自然に近い形で、不妊原因だけを取り除いたり、助けたりすることが、まずは大切です。そこから、医師として、治療を提供していて正直、辛いな、苦しいな、と思うこともあります。でも、それ以上に「何とかして赤ちゃんを授かりたい」と願うご夫婦を助けたい、一緒に歩いていこうと強く思っています。
今は開院してから半年ほどですが、妊娠される方も順調に増えてきました。そして妊娠8週くらいまでを診て、産科へ転院されていきますが、その時に赤ちゃんが無事に生まれるようにと願って、赤ちゃんの靴下、スタイ、おもちゃなどのグッズと手作りのカードを添えて「頑張って産むんだよ。おめでとう」って渡しています。
今後も、1人でも多くの方へ手渡せるよう、そして、笑顔で卒業していただけるように、これからもスタッフ全員で努めてまいります。
20代は、導いて 30代は、励まして 40代は、寄り添って...①
あかつきARTクリニック 桑波田暁子先生のお話
2018年11月発行『i-wish ママになりたい 20代・30代・40代の不妊治療』
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