よりよい治療環境が実現しました!...②
杉山産婦人科理事長・院長 杉山力一先生・中山浩次先生のお話
2018年11月発行『i-wish ママになりたい 20代・30代・40代の不妊治療』
難治性着床不全へのアプローチ
体外受精において、40歳未満の方が良好胚(受精卵)を4回以上移植した場合の妊娠率は80%以上といわれていますが、良好胚を4個以上かつ3回以上移植しても妊娠しない場合があり、これを「難治性(反復)着床不全」と呼んでいます。
着床不全の原因には、❶受精卵側の問題、❷子宮内の環境の問題に加え、❸受精卵を受け入れる免疫に関係するものがあります。
❶受精卵側の問題は、胚の遺伝子診断をして、移植胚を選択することで流産予防が可能です。
❷子宮内の環境の問題には子宮筋腫やポリープ、子宮奇形などがあり、これに対しては子宮鏡検査で原因を確かめながら、治療して着床環境を整えます。そして❸の受精卵を受け入れる免疫の問題です。免疫とは、自分の体を守るために体内に侵入した異物を排除するシステムです。免疫寛容とは、自己の細胞に対しては免疫反応は起こさないことをいい、これにはT細胞が関係しています。胚は、半分は自己(妻側)ですが、もう半分は非自己(夫側)です。通常であれば、胚は拒絶されず受け入れられて着床していくのですが、難治性着床不全の人の中には、胚を異物として攻撃してしまう免疫反応を起こしている人がいると考えられることから、検査を積極的に行っています。
これは今、私たちの施設でもっともトピックスなことで、この治療の中心となっている中川院長は、診療に加え、講演会にも引っ張りだこです。
免疫検査では、採血でTh1/Th2、ビタミンDの値を調べ、異常が認められた場合には、拒絶反応を抑え、胚が無事に着床して、妊娠が維持できるようにT細胞の機能を抑制する薬を使って治療します。この方法で、これまで何度も胚移植をしたのに妊娠ができず悲しい思いをしてきた多くのご夫婦に赤ちゃんが授かっています。
すべての患者さんを笑顔に、そして不妊治療を思い出に
ある医師から「すべての患者さんを笑顔に、そして不妊治療を思い出に」との言葉を贈っていただき、その言葉を大切にしています。患者さんにとっての笑顔とは何? と思われるかもしれませんね。患者さんを笑顔にするためには、何よりも満足のいく治療、赤ちゃんが授かる治療をすることだと考えています。そして赤ちゃんが授かれば、患者さんご夫婦は笑顔になり、やがて不妊治療は思い出になっていくでしょう。
私たちは、そこに向って今後も努力を積み重ねていくことが、赤ちゃんを願うご夫婦のための診療につながっていくと考えています。
ですから、杉山産婦人科 新宿では、新宿という立地条件を活かし、婦人科、泌尿器科、麻酔科、栄養療法、そして腹腔鏡手術などに腕の立つ医師を多く集め、胚培養士、看護師、受付それぞれが患者さんの笑顔のために努めています。
もっと笑顔を
最近、「アプリ不妊」もいると感じています。スマートフォンにある妊活アプリは、その人個人の排卵日を正確に教えてくれるものではありません。さまざまな統計から排卵日を示しているだけで、「あなたの排卵日」ではないことも少なくありません。そのアプリを信頼して、これまで性生活を送ってきた人を診察すると、排卵日がアプリで示している日とズレていることがよくあります。
そこで、「あなたの排卵日」をより正確に出せるようなアプリを開発しました。
より適切な時期に妊娠、出産していただくためにぜひご活用下さい。そしてもしも、夫婦でタイミングを合わせて性生活を持っても妊娠が叶わなければ、早めに専門の病院へ相談をして下さい。赤ちゃんを望む全てのご夫婦が笑顔になることを願っています。
アプリの開発
専門医師が妊活に向け月経・排卵管理を教えてくれるアプリです。社会で活躍する多忙な女性の排卵・卵子保有数をアプリがマネジメントするというもので、このアプリを使えば、もっとも効果的な妊活タイミングがわかりますから、とても便利です。
問診であなたのことを知り、あなたの毎日に合わせた情報をお届けします!
同世代の平均値ではなく、はじめにあなたの状況を問診でお聞きするため、毎日のあなたの生活の中で、あなたの体に合わせたあなただけの情報を、あなたのことを理解したうえで提供します。
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