治療は、その人自身を診ることそこにある個性を見極めること…③

おち夢クリニック 越知正憲院長のお話

2017年4月発行『i-wish ママになりたい 赤ちゃんを授かるための検査』

よりきめ細やかに診る

 検査からホルモン値などがわかり、その結果から治療の具体的な方法を決め、進めていきます。《ホルモン値がこれくらいになったら、こうなります》と教科書にはありますが、人の体は教科書通りには行かず、そこから外れることもあります。

 一人ひとり基礎値に違いがあり、基礎値からどれくらい上昇したかによっても違いが出てきます。ですから、教科書にあるようなホルモン値でも、全員が全員うまくいくわけではありません。それが個性です。

 また、排卵のタイミングには、一人ひとりクセのようなものがあります。きめ細やかに診ないと、その方のクセを見極めることはできません。

 それは、その患者さんから学ぶしかありません。一人ひとり違いますから、一人ひとりを診て、見極めるしかないのです。

 ですが、そればかりを診ていたら、見落としてしまうことがでてくるかもしれません。「木を見て森を見ず」という故事がありますが、それと同じように、違いやクセを診ることに気を取られ過ぎては、その方の治療の全体をどう進めるべきかを捉えることはできません。ですから、きめ細やかに診ることが、その方の本質を捉えるということでもあるのです。


本質を捉えるために

 本質を捉えるためには、これまでの治療歴や治療周期をよくみて検討することです。妊娠に至らなかった理由はなにかを深く考えることです。

 それには経験を積み重ねること、さまざまな情報を持ち、引き出しをたくさん持っていることも重要です。

 そして、それをアレンジして、お一人おひとりの治療へ活かせるようにすることが大切なのです。

 治療中に行うさまざまな検査では、その数値ばかりを追っているわけではなく、その方の反応のクセや個性を知るために行っています。また、それらはこれまでの治療結果からも診ていくということです。そうして、本質を捉えながら治療周期を組み立て、進めているのです。

 その根幹は、「目の前の患者さんの希望を叶えるために」という思いばかりです。  



治療は、その人自身を診ることそこにある個性を見極めること…①
治療は、その人自身を診ることそこにある個性を見極めること…②


おち夢クリニック 越知正憲院長のお話

2017年4月発行『i-wish ママになりたい 赤ちゃんを授かるための検査