治療は、その人自身を診ることそこにある個性を見極めること…①
おち夢クリニック 越知正憲院長のお話
2017年4月発行『i-wish ママになりたい 赤ちゃんを授かるための検査』
おち夢クリニック
越知正憲院長
おち夢クリニック名古屋は、からだに優しい自然周期体外受精、低刺激体外受精を行うクリニックとして、これまで何度も取材を重ねてきました。
卵子の大切さや単一胚移植の大切さを取材した折には、卵子の質が妊娠の要となり、その卵子の質は年齢とともに低下することを知りました。
また、女性の妊娠する力と排卵誘発のこと、そして不妊治療は妊娠するためだけではなく、子どもを授かるための治療だと深く理解するようになりました。そして、ふだん見ることのない培養室に密着したり、クリニックの1日に密着したりと、通院する患者さんたちに臨場感のある分り易い紹介をすることができました。
そして、今回の取材では治療の真髄に迫ります。
治療を進める上で、患者さんの何を診て何を確認し、何を大切にしているのか、越知先生と桑波田先生にお聞きしました。
卵子の質の低下は誰にでも起こる
もともと、人は排卵されてくる1個の卵子で妊娠する力を持っています。
性生活を持つことで卵子と精子が出会い受精し、着床して妊娠が成立し、そして出産して…と、これまで人類は歴史の中でその行為を繰り返してきました。今でもこの延長上に妊娠、出産している夫婦が大半です。
ですが、中には性生活を持っても妊娠が成立しない夫婦もいます。その原因を調べ、難しくなっていることを医療によって妊娠に導くようお手伝いすることが不妊治療です。なかでも体外受精は、卵子を体外で受精させて、一定期間胚を培養し子宮へ戻す治療方法ですが、ここで大切になるのが、卵子の確保とその方法です。
そこで立ち戻ってほしいのは、もともと人は排卵されてくる1個の卵子で妊娠する力を持っているということです。一般的に卵子の質は、女性の年齢が高くなるに従って低下します。
それは、体外受精を必要とする、しないに関わらず起こることなのです。
不妊症だから卵子の質がよくないのではないのです。
なぜ自然周期、低刺激周期なのか
体外受精が行われるようになって30年以上が経ちますが、この発展には排卵をコントロールし、採卵を確実に行えるようになったことがあげられます。体外受精が始まった当初は、排卵をコントロールできずに採卵手術を行っても排卵済みになるケースも少なくありませんでした。
そして、薬で排卵をコントロールできるようになると、誘発剤を使用してたくさん卵子を採ったほうが効率がいいということから、多くの卵胞を育てて採卵する排卵誘発方法が開発され、それが主流になってきました。
これは、採卵のタイミングを医師が決めて行うための方法であり、卵巣に大きな負担をかけてしまう方法でもあります。
しかし医学は進み、医療機器の開発も進み、さらに生殖に関するいろいろなことがわかり、確認もできるようになってきたことから、排卵のタイミングがより正確にわかるようになりました。
このことにより、薬でコントロールしないで卵巣が決めた排卵のタイミングに合わせて採卵し、卵子を確保することができるようになってきました。
今一度立ち戻ってほしいのは、もともと人は排卵されてくる1個の卵子で妊娠する力を持っているということです。卵巣に負担をかけて多くの卵子を確保しなくても、本来持っている妊娠する力を使って、必要なだけの医療で補ってあげれば妊娠することができるのです。
ですから、自然周期、低刺激周期で自然に排卵されてくる卵子の成長を助ける方法で十分なのです。
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