適齢期での妊娠〜出産…②



杉山産婦人科 杉山力一院長のお話
『i-wish ママになりたい 女性のカラダと卵子の話』より





先生のところは腹腔鏡での成果も大きいと聞きますが?

 原因を診ていくと、腹腔鏡での対応もありますから、その場合は、丸の内のクリニックで手術を行い、手術の後で体外受精に頼らず、多くの方が妊娠されています。3割ぐらいの方(夫婦)は術後に自分たちの力で結果を出されています。年間では800件程の腹腔鏡を行っていますから、250名程が妊娠し、そうでない方は、その後に体外受精で妊娠される方もいます。  夫婦の力で妊娠したい。それは患者さんご夫婦の希望でもあり、その原因が女性側の卵管因子や子宮内膜のケースなどであれば、それを腹腔鏡で診て、治療に選択肢を持たせるのも必要なことと考えています。  ただ、そこにも年齢と卵子の質は関係していて、若ければ結果も良く、年齢とともに厳しくなることに変わりはありません。


医療で大切なこと

 医療を行うということは、当然患者さんの希望があるわけですから、それに応えなければなりません。腹腔鏡もその1つ。また、希望に応えるのにもできるだけのメリットを考え、不妊治療で体外受精を行うのにも、できるだけ多くの時間対応できるよう、夜間でも注射ができるとか、処置に当たれ、治療費用も安いのに限ります。個人医にとってはその医療費用のサービス努力も大切です。そして、当院であれば年間3500以上の治療周期を診て、それを続けていれば傾向もつかめてきます。そこでやはり卵子の質に関しては年齢が大きく関係しているので、適齢期での妊娠を啓発、推進されるよう願うばかりです。 


やはり、卵子の質までは変えられないということですね

 ここまで患者さんの年齢が上がってくると、チャンスも少なくなる一方ですから、卵子の質を守るために何か工夫できることはないかと考え、それが栄養とか、運動とか、漢方やサプリといったものに救いを求める気持ちにもなりますが、その辺はどうなのでしょう?  それで効果があるかどうかはわかりませんが、個人個人の心がけで、それこそ喫煙とか、アルコールとかも、注意をすることもないくらい、みなさん悪いと言われていることに関してはやめていらっしゃる方が多いので、ふだんの生活で十分カラダの健康は保てていると思います。  ですから、栄養とか、運動とか、漢方とかサプリとかがいいということに関してもわかりません。個人差、太り過ぎや痩せの問題もあるでしょうし。それ以上に質を細胞面から考えるのであれば、核置換とか、細胞レベルの話になりますが、それは問題も多く、許されているものではありません。  その話の将来ということであれば、研究をされている先生方や研究者に聞くのがよいと思います。


培養室での努力はどうですか?

 質を落とさないための工夫や努力は、当然、培養士たちが行っています。最近は、培養液や機器の進歩も進んでいるため、その辺での治療施設間格差はなくなってきているのではないでしょうか。


 先生のところには、産科もありますが…

 出産まで診るということでの意義も大きいのではないでしょうか?  それも大切なことですが、生殖医療を真剣に考えたらそれとこれは別に考え、生殖医療をどのようにしっかりおこなっていくかが基本となります。ですからその気持ちはしっかり持ち続けていきたいと思っています。


適齢期での妊娠〜出産…①


杉山産婦人科 杉山力一院長のお話

(2015年3月5日発行 『i-wish ママになりたい 女性のカラダと卵子の話』の記事です )

i-wishママになりたい

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