早めに対処すれば 解決策はある…②
オーク住吉産婦人科 苅田正子先生のお話
『i-wish ママになりたい 女性のカラダと卵子の話』より
卵子が老化するワケ
編集■卵子の質が低下する原因については、どのように伝えていますか?
苅田■卵子について説明するためには、胎児の頃にさかのぼって説明をする必要があります。つまり卵子は胎児の頃に造られ20週頃にピークを迎え、その後、数はどんどん減っていきます。残っている卵子は年齢と一緒に年を重ねていくことになります。そのため卵子は時間とともに老化して、質が低下してしまいます。
私たちの寿命は80歳くらいですが、卵子の寿命は50歳ほどが限界。そこが日々造られる男性の精子とは違う点で、だからこそ卵子の質が妊娠に及ぼす影響は大きいとお伝えしています。
卵子の老化と言われても なかなか完全には納得できないものです
編集■説明を聞いた患者さんはどのような反応を示しますか?
苅田■不妊治療をしても、なかなか妊娠にいたらない患者さんの場合、特に30歳代から40歳代の患者さんは、卵子の老化が原因の1つであることは頭では理解できていても、それ以外にも何か原因があって妊娠しないのではと考えておられる方が多いと感じます。
特に体外受精の場合は、採卵
して受精後、5日目まで培養した胚盤胞を移植することが多いのですが、胚盤胞まで到達しているのに妊娠しないのは、なぜですかという質問をされることが多いです。
一方、培養の段階で卵子の質を向上させる方法はないのかと質問される患者さんもいます。やはり、卵子の老化が大きな原因となっていると言われても完全に納得できるものではないのでしょうね。
基礎体温が2相に分かれていれば 大丈夫?
編集■ご自分のからだの状態について、患者さん自身はどこまで理解しているのでしょう?
苅田■来院される方のほとんどは基礎体温をつけています。ただ、基礎体温が低温期と高温期の2相に分かれていれば大丈夫だと思っている方が多いと感じます。
確かに基礎体温は参考にはなるのですが、実際、どの時点で排卵しているか、卵胞がきちんと大きくなっているかについてはエコーで確認しないとわかりません。
最近は、スマホのアプリで排卵日などを示してくれるものを使っている方もいますが、たとえばホルモン値などが卵胞の発育や排卵に深く関係しているというところまで理解している方はあまりいらっしゃいません。クリニックに来てホルモン検査をして初めて自分の状態を知る方が多いと感じます。
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