進歩は工夫とともに…その②


IVF詠田クリニック院長 永田由美先生のお話 
『i-wish ママになりたい 不妊治療の今』より 


 治療ではプライバシーを守ることも大事 !
 でも、オープンにすることも大切だから見える培養室に


IVF詠田クリニック 培養室


採卵手術後、卵子は培養室へそして、どうなるの?

<最新の機器も駆使して>

  詠田先生が院内でのスタッフ連絡に採用したのはFace time。端末はスタッフ分、40台を越えます。 

 採卵手術によって卵子が採取されるときにも、手術室の医師と培養室の培養士はiPodやiPad(Face time)で連絡を取り合います。それぞれの画面や声によって、患者さんの氏名確認などが行います。  ここで、採卵から受精、胚培養までを簡単に順を追って見てみましょう。 

 手術によって採取された卵胞液は、手術台のすぐ後ろにあるパスボックスから培養室へ送られます。パスボックスを介して、培養室に渡った卵胞液は、その中から培養士が顕微鏡を使って卵子を探しだし(検卵)、見つかった卵子は、培養液の入った別のディッシュに移され、インキュベータの中へ。そこで媒精(卵子に精子を振りかける受精方法)や顕微授精(卵子の細胞質内に1個の精子を注入する受精方法)までの間、前培養されます(卵子が成熟し、受精できるように)。 

 ご主人の精子は、フレッシュな精液の場合には精液検査後に精液調整をし、元気で運動性のある精子だけを使います。凍結精子を使用する場合は融解して、運動性のある精子をピックアップします。前培養後は媒精または顕微授精へと進みます。

  IVF詠田クリニックの場合、初めての体外受精ではスプリットICSIになることが多くあります。スプリットICSIとは、媒精と顕微授精を半々程度に行う方法で、この受精率や受精の状態などから、次回、体外受精が必要となったときに、どちらの受精方法の方がよいかが検討できるからです。 

 受精後は、速やかにインキュベータへ。培養室内では、すれ違いによる事故が起こらないよう通路スペースの確保も万全に。もちろん、入室時はエアシャワーも浴びるなど、安全で清潔な培養室を実現しています。 


培養室の様子と工夫

 インキュベータは、個別に培養できるものを使用。1台に6つの個別インキュベータがあり、それぞれ温度や二酸化炭素CO2などが管理でき、扉の開閉ごとに他の胚が悪影響を受ける心配はありません。

 また、2005年に起こった大地震時には、インキュベータが倒れたり壊れたりし、培養していた胚が全滅してしまいました(凍結タンクにあった胚は問題ありませんでした)。その時の教訓からインキュベータには免震機能を備え、さらに培養室内のあらゆる機器が地震などの災害に備え耐震が施されました。 

 また、培養士のミスが起こらないように動線を十分に確保し、すれ違いによる事故が起こらないようなスペースの確保、また配線などにも十分に気を配り、安全で清潔な培養室を実現しています。

  胚培養後は、胚移植、または凍結と移っていきますが、これら培養士の仕事ぶりを、窓越しに見ることができるわけです。 

 窓のすぐ近くに半円形で置かれたインキュベータ。 

 1A、1B、2A、2Bと表示されたクリーンベンチ。そこで培養士が作業していれば、それは検卵や媒精など。一番奥にある顕微鏡では顕微授精。左手奥のクリーンベンチでは凍結や融解作業。

  採卵手術や胚移植手術時など、手術中の患者さんの個人情報が見えてしまう場合、窓が曇って中が見えないようになり、それが済めばクリアなガラスに戻り、また中がよく見えるようになります。

  見える培養室でありながら、個人情報などにはしっかり対応し、開かれた培養室でありながら、清潔を保ち、整然と管理をし、それを維持している意識の高さも、うなるばかりです。 

 


進歩は工夫とともに…その① 
進歩は工夫とともに…その③ 


 IVF詠田クリニック院長 永田由美先生のお話 
(2014年11月30日発行 『i-wish ママになりたい 不妊治療の今』の記事です)

i-wishママになりたい

不妊治療専門誌i-wishママになりたいの中で取材したクリニックを紹介しています。