不妊治療で男性の役割 そして、男性ができること...①
佐久平エンゼルクリニック 政井哲兵先生のお話
2019年1月発行『i-wish ママになりたい 男性不妊の検査と治療』
佐久平エンゼルクリニック
政井哲兵院長
豊かな土地佐久平で…
佐久平は、長野県歌「信濃の国」で「松本・伊那・佐久・ 善光寺 四つの平は肥沃の地」と歌われるように、長野のなかでも昔から親しまれてきた土地です。
北陸新幹線と在来線の小海線が乗り入れ、両路線の接続駅でもある佐久平駅周辺は、最近は、都心への新幹線通勤も1時間半ほどと便利なことから、さらに賑やかになってきています。この佐久平駅から徒歩10分ほどの距離。エンゼルの羽の描かれたステンドグラスが特徴的な白い外観の佐久平エンゼルクリニックがあります。
今回私たちは、佐久平エンゼルクリニックの政井哲兵先生に男性不妊や不妊治療での男性の役割について伺ってきました。
君が治療で痛い思いをしても僕は、代わってあげらない…
不妊治療は、夫婦の治療です。
そうお話をしても、実際の不妊治療の負担は女性にのしかかってきます。何しろ受診するのは「婦人科」ですから、もともと男性がかかる診療科ではありません。主に診察を受けるのは、女性になりますし、治療をどう進めるかと話すのも、また妊娠していなかったときの辛い診察も、ほとんどが女性です。また、血液検査で体に針を刺すのも、体外受精での排卵誘発のための注射や採卵手術を受けて痛い思いをするのも、やっぱり女性なのです。
女性の身体的、精神的な負担は、相当なものがあります。では、男性は? といえば、極端な話、病院へ行かなくても精子さえあれば治療を進めることができます。それでも、不妊原因は男女半々なのです。
男性に不妊原因があっても、女性にかかる負担や治療を男性は代わって受けることはできません。
でも、男性にもできることは、実はいろいろあるのです。
不妊症の原因の約半数は男性
まず、知っておいていただきたいのは、世の中の不妊原因の約半数は、男性因子によるものだということです。
そして、そのうちおよそ9割程度が精巣で精子を作る働きが低下している造精機能障害とされています。この造精機能障害のうちおよそ6割程度が特発性造精機能障害といわれる原因不明で、残りの2、3割程度が精索静脈瘤です。つまり男性不妊のおよそ半分か、それ以上は原因不明の特発性造精機能障害ということになります。
私たちのクリニックでも、約半数が男性に何らかの不妊原因があるご夫婦です。
原因のわからない男性不妊の治療方法は?
原因がはっきりしないために、これをやったら精子が増えるとか、運動率が改善するというような根本的な治療方法がありません。そのため現在の不妊治療の中心的な考え方では、精子が少なくて受精ができず妊娠しないのであれば、精子そのものを増やすことよりも、人工授精、体外受精、顕微授精などで少ない精子でも受精できるようにサポートし、妊娠を目指していきます。
精子数、運動率の程度により自然妊娠が少し難しいようであればなるべく負担の少ない人工授精を選択し、それよりも少なければ卵子に精子をふりかける通常媒精の体外受精を、また重度の乏精子症や精子無力症では顕微授精を、またさらに顕微授精に必要な精子が射出精液中にない場合は、手術で精巣から精子を回収して、それを顕微授精に用いるTESE - ICSIで妊娠に臨むことができます。
佐久平エンゼルクリニック 政井哲兵先生のお話
2019年1月発行『i-wish ママになりたい 男性不妊の検査と治療』
0コメント