望んでいることは一つでも、何が必要かは、一人ひとりそれぞれに違います。それに応えるための診療を!...②

明大前アートクリニック院長 北村誠司先生のお話

2018年4月発行『i-wish ママになりたい 不妊のリアルお悩み相談室』

妊娠と不妊治療に関する知識も重要 ご夫婦へ説明会を実施

月に1~2回、体外受精についての説明会を行っています。

 これは不妊治療や体外受精に関することを私が直接、説明していますので、ぜひご夫婦でいらしゃってください。

 妊娠や不妊治療には、夫婦で臨んでいただきたいと思っています。そのためには、妊娠や不妊治療に関する情報を夫婦で共有することが大切です。

 また、妊娠に対する知識も、意外と知らなかった! ということも少なくないようです。きちんとした情報を持っていることは、不妊治療をする上では大切なことです。

 また、治療には、ご夫婦それぞれ、いろいろな希望を持っていますが、目的は子どもを授かるという一つ。治療方法をしっかり選択するためにも、妊娠や不妊治療に関する知識を深めることは重要なことなのです。

 そして、それは正しい情報かつ最新の情報であることが重要ですから、ぜひ、説明会にいらして、直接話を聞いて欲しいと思います。


不妊治療のゴールは妊娠ではありません

不妊治療は、妊娠することを目標にしていますが、目的はその先にある出産、そして育児につなげることです。

 これまで不妊治療によって生まれた子どもたちを対象に、アンケート調査の実施はありましたが、実際の成長や発達に関してはまだまだ情報が足りていません。2015年の統計では、生まれた赤ちゃんの約20人に1人が体外受精だったと発表されています。

 生後3カ月で行う乳児健診など、多くの自治体で集団健診という形をとっていますが、参加されるうちの約20人に1人は体外受精児ということになります。

 実際に、どの子が自然妊娠、どの子が体外受精でと、見ただけではわかりません。もちろん、健診をする医師も、親御さんから伝えられなければわからないでしょう。

 ですが、体外受精によって生まれてきた子どもたちが元気でいるか、順調に大きくなっているか、何か問題は抱えていないかなど、アンケートではわからない実際を診ていくことも、不妊治療に携わる医師として必要なことだと考えています。

 そこで、体外受精によって生まれた子どもの身体発育、精神や運動発達などについて、小児科医や児童心理学などの専門家と一緒に、フォローアップをしていくための準備を進めています。


最後にみなさんへ

私は、いろいろなことを配慮してクリニックを作りました。それは、よりよい治療を提供するために、また患者さんが少しでもくつろげ、安心できるよう、努めて考えたことです。

 例えば、子宮卵管造影検査は、エコー検査で行う卵管通水検査よりも、より情報量も多く、確実に検査ができるレントゲン撮影で行うものを採用しています。このようなレントゲン室を設けることで、外部へ委託することなく院内で検査することができます。

 また、採卵手術などの後に休んでいただくリカバリールームは半個室になっています。お隣の人を気にすることなく休んでいただくことができるようにしました。

 そして、説明会とは別に、患者さん同士、患者さんとスタッフとの交流やさまざまな情報提供のためのサロンも企画していこうと思っています。私は、ちょっと強面ですが、前任のクリックではサロンへも参加し、仮装をしたり、みなさんと話をしたり楽しく時間を過ごしました。また、日々のさまざまをブログに綴っていますので、ぜひ、読んで「意外と…(お茶目なのね)」という表情も知っていただければと思っています。


望んでいることは一つでも、何が必要かは、一人ひとりそれぞれに違います。それに応えるための診療を!...①


明大前アートクリニック 北村誠司先生のお話

2018年4月発行『i-wish ママになりたい 不妊のリアルお悩み相談室