妊娠の要になる卵子のことこの根本的なことを男性にもきちんと知ってほしい…③
はなおかIVFクリニック品川 花岡正智院長と拝郷浩佑培養士のお話
2017年10月発行『i-wish ママになりたい 卵と胚と着床』
胚培養士から見る胚の成長と評価
実際に胚培養をする胚培養士の拝郷さんに、「いい胚」と「妊娠する胚」について伺いました。
胚の形と妊娠率には大いに関係があります。また、初期胚のグレードと胚盤胞到達率にも関係があります。なかには初期胚のグレードが良くても、胚盤胞に到達しないものもありますが、初期胚のグレードの低いものは胚盤胞到達率も低くなります。また、初期胚のグレードが低かった胚が胚盤胞に到達しても妊娠に結びつくケースは低くなります。その際、初期胚のグレード評価が正しかったのかを検証したり、また成長過程から考えて胚盤胞の評価を考える必要も出てきます。
これには、きちんとしたデータをとって検討する必要があります。
胚培養士としてよりよい環境を
評価のいい胚と妊娠した胚については、培養室で話題に上がることがあります。例えば、「私になった胚は、いったい、どのグレードだったんだろうか」です。
自然に育つ胚を確認することはできませんし、不妊治療を必要としない方の胚を確認することもできません。また、排卵誘発をしていない卵子からできた胚を確認する機会も多くはありません。
いい胚と妊娠した胚がイコールでない場合もありますから、実際に私になった初期胚が、いわゆるグレード1だったとは限らないわけです。
もしかしたら、体内環境で育つ胚と体外培養で育つ胚には、何か特徴的な違いがあるかもしれません。これには、培養液や、インキュベータも関係してくるでしょう。
ただ、違いがわからないからと言って胚培養を手探りで行っているわけではありません。胚培養士として卵管で育つ、排卵誘発をしていない不妊治療を必要としない方の胚を知ることが、培養環境をよりいい環境に整えることができるのではないかと思っています。
胚移植は、子宮の声を聴くこと
次に、移植について花岡院長にお聞きしました。
これまで記してきた卵子や胚の舞台は卵巣と卵管でしたが、移植という段階では子宮が舞台となります。
そして、移植に関しては、「子宮の声を聴く」ことが重要になってきます。
体外受精では、卵が成長する時間と子宮が着床の準備をする時間にズレが生じやすくなります。そのため、胚移植には、この時間を合わせる必要がでてきます。このときに、子宮との対話が必要で、この声をきちんと聴かずに時間がズレたままでは、いくらいい胚を移植しても妊娠は叶いません。
例えば凍結融解胚移植で、受精から3日目の胚を移植する場合、自然周期であれば排卵から3日目の子宮に移植し、ホルモン補充周期であれば排卵3日目相当の子宮内膜を作って移植します。胚と子宮の時間が合うポイントを見つけ出す、また作り出すことが胚移植には重要だということです。
最後に
女性にはもちろんのこと、とくに大切な女性が幸せであるために、男性にも、妊娠の要となる卵子について、ぜひ知って理解しておいてほしいと思っています。
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