妊娠の要になる卵子のことこの根本的なことを男性にもきちんと知ってほしい…①
はなおかIVFクリニック品川 花岡正智院長と拝郷浩佑培養士のお話
2017年10月発行『i-wish ママになりたい 卵と胚と着床』
はなおかIVFクリニック品川
花岡嘉奈子理事長と花岡正智院長と拝郷浩佑培養士
今回の『i・wishママになりたい』のテーマは『卵と胚と着床』です。
妊娠するためには『卵と胚と着床』のどの段階もとても大切ですが、その第一に、元となる卵子とその質がもっとも大切で、その卵子に対する男性側の意識も大切であると、花岡正智先生は話します。
今回は、受精や胚培養を行う胚培養士の拝郷浩佑さんにも加わってもらい、卵のこと、胚のこと、それから着床に関することを伺いました。
卵子の大切さ
卵子の質が大切だという話は、多くのメディアでも取り上げてきましたし、だいぶ浸透してきています。今では、既婚女性だけでなく、未婚女性にとっても大きな関心ごとになっていることでしょう。
では、卵子の大切さをどれだけの男性が知っているの? となると、それは疑問です。
実際、子どもを欲しいと願う夫婦においても、その知識の差やそこへの関心の差があり、ご主人の意識の低さが治療における判断を鈍らせ、妊娠を遠ざけてしまっていると考えられるケースも少なからずあります。
そこで、私たちの行っている体外受精説明会では、「一緒に参加したご主人が眠くならないように、男性にもわかりやすい方法で説明する工夫をしています。
また、「奥さんに連れられて来たから、とりあえず一緒にいればいい」などという時間にさせず、率先して卵子について理解してもらいたいと思っています。
ですから、この話も男性にぜひ聞いてもらいたいと思っています。
卵子があることそして、質のいい卵子であること
出産につながる妊娠であるためには、質のいい卵子であることが重要なポイントです。では、質のいい卵子とは、どのような卵子なのでしょう? 最終的な答えは、赤ちゃんになった卵子がいい卵子ということになるでしょう。
しかし、今周期の卵子の質がいいものかどうかは完全にはわかりません。例えば体外受精の場合、採卵した卵子を形態的に評価することも大切ですが、その後に受精し、成長していく過程でこの卵子の質が初めて示唆されることもあります。受精卵の質はそれが卵子の質によるものか、精子の質によるものか、あるいは他の要因が関係しているのかは、妊娠のメカニズムが複雑であることと、まだ生殖で解明できていないことなどから、そうした判断は大変難しいものなのです。
ですが、卵子がなくては妊娠は望めません。もちろん精子も重要ですが、まずは卵巣内に卵があること、そして卵が成長すること、成熟した卵子になること、その質がいいことが、妊娠成立のキーになっていることに間違いありません。
年齢が上がると卵子の染色体異常の率も上がる
もともと卵子はエラーが多い細胞だと言われています。どの年代にも染色体異常を持つ卵子はありますが、その率は年齢を重ねることで高くなっていきます。
たとえば、10個に1個くらいに起こっていた染色体異常が、5個に1個の割合になって、3個に1個の割合になるという感じです。
個人差もありますが、40歳になると体外受精での妊娠率は総治療周期あたり15%に届きません。そして生産率、つまり赤ちゃんが生まれてくる率は約8%です。1歳年を重ねるごとに厳しくなり、43歳では生産率は2.5%程度です。
生産率が年齢を重ねるごとに低下するのとは逆に、流産率は上昇してきます。これらの要因は、ほとんどが胎児の染色体異常で、年齢による卵子の質の低下が元となっていると言われています。
こうして、30代後半になると、多くの月経周期で質のいい卵子が排卵された時期は過ぎ、40歳の声が聞こえる頃からは、卵子の質の低下から妊娠、出産が厳しくなっていきます。
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