体外受精や顕微授精によって 生まれてくる命。その未来に 目を向けていきましょう !…①
はなおかIVFクリニック品川 花岡正智院長と拝郷浩佑培養士のお話
2017年1月発行『i-wish ママになりたい 体外受精と顕微授精2016』
はなおかIVFクリニック品川
花岡嘉奈子理事長と花岡正智院長
毎日、多くの患者さんがここ「はなおかIVFクリニック品川」に診察で訪れ、明るい陽の光に包まれた待合室で順番を待ちます。その待合室の大きなテレビではディズニーや日本昔話のDVDが流れています。「いつか子どもと一緒に観よう」と思う方もいらっしゃるかしらと考えながら私たちも陽だまりの中、取材の時を待ちます。
今回のテーマは、体外受精と顕微授精。「受精方法をどのように決めるの?」 特に「卵子に針を刺す顕微授精は心配!」という声もあり、安全面のことを含め、ご夫婦が知りたいことをたっぷり聞きましょう。
先生だけでなく、受精や胚培養を行う胚培養士の拝郷浩佑さんにもお話をうかがいました。
体外受精が必要!
受精方法はどのように選ぶのですか?
体外受精が必要となったとき、方法としては通常媒精(コンベンショナルIVF/以下CーIVF)と、顕微授精(ICSI)があります。
CーIVFは、ディッシュ上の卵子に精子を振りかけて受精を待つ方法で、ICSIは顕微鏡下で、卵子に1個の精子をピペットという極細の針で直接注入して受精を促す方法です。
では、どのようにそれぞれの方法を選ぶのでしょうか。
その基準を花岡正智先生にうかがいました。
主に精子の状態で決めていきます
受精方法については、主に精子の状態が関係してきます。精子の数が少なかったり、運動精子が少なければ、CーIVFでは受精が難しいと考えられますから、初めての治療周期からICSIがよいのではないかと患者さんに提案しています。とくに精子に問題がなければ、CーIVFで行うことが基本です。
また、前回の治療周期で精子に問題がなかったのに受精が成立しなかった場合、あるいは異常受精(前核が3個以上見えるものなど)が起こった場合にも、受精方法はICSIになるケースが多いです。それから複数の卵子があればCーIVFとICSIに分けて受精を行うスプリットICSIを提案しています。
体外受精には、受精方法以外にもいくつかのポイントがあります。受精後に胚移植まで進んでも妊娠のメカニズムは複雑ですから、結果、妊娠に結びつかないこともあります。そのため同じ治療を繰り返すのではなく、方法を変えてみることも大切になってきます。
ICSIは、卵子に針を刺すことから抵抗感を示すご夫婦もいらっしゃいますが、状況をよく説明して理解していただければ、納得して選択できると思います。
では、ICSIについて、その安全性に関わる話もしておきましょう。
ICSIは安全?
1978年、世界で初めてのICSIで生まれた女性も、その後順調に成長し結婚、そして自然妊娠され無事出産されました。
ICSIで生まれた子ども達の成長については、概ね問題ないだろうということはわかってきていますが、その方達に子どもが授かるかどうかも含めその成長が注目されるところです。
さらに安全かどうかということについては、まだまだ長い年月をかけて調査することが必要ですが、大切なことは今までに、そして今でも「CーIVFやICSIによって生まれてくることができる命がある」ということではないでしょうか。
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