がんばりすぎですよ!…②
はなおかIVFクリニック品川
花岡嘉奈子理事長のお話
『i-wish ママになりたい 妊娠しやすいからだづくり』より
院内写真
患者さんの生活の中に、仕事も治療もあることをしっかり理解して、それを守りながら治療効果を出す医師が理想
もちろん、卵胞の成長やホルモン値の変化など、患者さんの都合や、スケジュール通りにはなりません。ですから、治療スケジュールを変更しないようにすることが基本です。ただ、患者さんにとって、生活の一部に治療があるのだと考えています。生活のすべてを成り立たせるためには仕事も必要なもの。
その患者さんの生活背景を考えれば「決められた時間に注射に来られないなら、知らないよ!」とは、簡単には言えません。そのために患者さんたちは、どこかで無理をし、仕事に都合をつけ、何とかするかもしれませんが、でもそれは逆に、病院の都合かもしれません。実際、ある程度は、患者さんの都合に合わせて注射の時間を変更することはできるはずです。そうした配慮ができるか、それら方法を知っているか、アイデアを持っているかどうか、それが治療技術の差となって患者さんにも影響していきます。
治療プログラムのすべてを患者さんの都合に合わせることはできなくても、柔軟に対応できるところは考慮することが、医師選びの面からも重要なことでしょう。
そして、それは患者さんの年齢層が高くなってくるにしたがって、より重要になってきます。30代から42歳くらいまでであれば、おそらくどこの病院で治療をしても、結果に大きな差はないでしょう。でも40歳を超え、42歳くらいからは特に、治療方法や技術、対応の柔軟さがより必要になってきます。それだけ、治療予測が難しい年齢になってくるからです。
妊娠するため、そしてママになるための治療ですから、是非、その目を養って、医師選びをし、できるだけ無理の無い不妊治療を受けてほしいと思います。
タバコだけは、絶対にダメですよ!
「妊娠しやすいからだづくり」のために、タバコだけは絶対にダメです。タバコは、卵子にも精子にもよくありません。タバコを吸っている人だけでなく、その副流煙でも影響を受けるためパートナーの卵子、または精子にも悪影響を与えてしまいます。妊娠して、出産するために治療をしているのに、タバコによって、それらが遠ざかってしまうのです。
タバコを吸っているご主人が、タバコをやめると、精液検査に驚くほどの違いが出ることもあります。精子数が増えたり、運動率が良くなったりするケースが本当に多いのです。タバコは、子どもの成長にも影響しますから、とにかく1日でも早くやめてほしいと思います。
ただ、タバコをやめることは、大変かもしれません。
そこで、ちょっと計算してみましょう。例えば、2日で1箱吸っていたとします。すると1年間で183箱のタバコを吸っていることになります。これを1箱400円で計算すると、7万3200円。20歳から吸い始め、今年で40歳なら20年間で146万4000円がタバコ代で消えたわけです。1日2箱だったら300万円近くになります。そのうえ健康被害があり、周囲にも迷惑をかけ、妊娠を遠ざける要因にもなっています。「やめましょうよ」と言うしかありませんよね。
また、カップ麺もよくありません。塩分も多く、体が脱水状態になりやすいことや発泡スチロールの容器からは、環境ホルモンが溶け出すとも言われています。
お話しましょうそして、笑いましょう
やはり話は元に戻ってしまいますが、医師と十分にコミュニケーションをとることが大切だと思います。そして、笑うことも大切です。
転院してくる方の中には、これまでの治療で打ちひしがれてくる方もいます。40歳以上になれば、妊娠しないで治療を終える方も多くなってきます。そのため、妊娠と出産をしっかり理解して納得して治療をしていただくために、私は患者さんとたくさんのお話をしたいと思っています。
何度診察にみえても、笑顔の出ない方もいますが、それだけ気を張っているのだな。打ちひしがれているのだな。と感じています。でも、話をしているうちに何かのきっかけで笑顔になったり、笑い声が出たりすると、私も嬉しくなり、思わず「笑ったね」と言うと「笑い方を忘れていました」と答える方もいます。
それだけ思いつめていたのですね。
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