いい卵子に出会うために…②
みなとみらい夢クリニック 貝嶋弘恒院長のお話
『i-wish ママになりたい 女性のカラダと卵子の話』より
❶いい条件で周期をスタートしましょう
よい条件で採卵する月経周期をスタートさせること。これは、とても大切なことです。卵胞は、排卵周期の60日前くらいからFSHに対して反応するようになります。つまり月経の周期的なホルモンに対して反応するようになるのは、排卵する前の周期も関係しているということになります。そのため、採卵する2周期前から、採卵に向けての準備がスタートします。
いい周期でスタートさせるために重要になってくるのがFSH値とLHの値です。まず、FSH値からお話します。FSH値からは卵巣機能の状態を知ることができます。この値が高ければカウフマン療法やピル、または他のホルモン剤などで下げる必要がありますし、その方法が期待できないほど卵巣機能が低下し、FSHが高い状態であれば、少しでもいい状態の月経周期を逃さないようにすることが必要です。FSHが高いからと言って卵の質の低下に直結するわけではありませんが、FSHが高いことによって月経周期と排卵周期にズレが生じやすくなるため、治療に適切な周期かどうか注意深く診ることはとても大切な事です。
また、FSHとともに重要なLH値ですが、この基礎値が高い周期は、その周期中に育つ卵胞と中にある卵子の劣化が起こりやすくなります。つまり、質のいい卵子の獲得が難しくなるわけです。そのため、FSH値とともに、LH値も同様に診て、高ければその値を下げる工夫が必要です。FSH値もLH値も低い周期であること。これがいい条件でスタートさせることにつながります。そのためFSHが下がりきらない、LHが高いままの場合、その治療周期を見送り、次周期までに再調整をすることもあります。
❷遺伝子レベルの質は、変えようがない
卵子の質は、年齢とともに低下します。それを止めることはできませんし、変えることもできません。これには、染色体異常が起こりやすくなってくることが大きく関係しています。卵子は、染色体の数を半分に減らしながら成長してきます。46本だった染色体の数を半分の23本に減らし、精子と一緒になること(受精)で46本になります。この染色体の数を半分に減らす行程で間違いが生じて、卵子の核に過不足が出る頻度が年齢を重ねるごとに多くなってきます。
例えば、核置換や細胞質置換などによって卵子を若返らせるという方法も考えられるでしょう。しかし、もともとの核に異常があれば、いくら核や細胞質置換を行っても、その卵子のほとんどは赤ちゃんに結びつくことができないでしょう。また、倫理的な問題も生じてきますから、やるべきことではないと私は考えています。
遺伝子レベルでの質は変えようがありません。それは、誰も避けることができないということをみなさんが十分に理解する必要があります。適齢期と言われる30代前半までに妊娠、出産するのが理想ですが、現実的には40歳以上の方もたくさんいらっしゃいます。そのために何が考えられるか、そこがとても重要なのです。
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