難しい方でも妊娠を!…その①
みなとみらい夢クリニック院長 貝嶋弘恒先生のお話
『i-wish ママになりたい 体外受精の現状と安心と安全』より
不妊治療は時間との勝負!
患者さんごとに最適な治療法を見つけて的確な治療をすることで良い結果へ結びくのです
みなとみらい夢クリニック院長
貝嶋弘恒先生
開院から7年目に
桜の花が咲き誇る4月。みなとみらい夢クリニックの貝嶋弘恒医師を訪ねました。
3月29日に行なわれた説明会に出席して、先生の治療方針や方法、考えなどをお聞きし、今回はさらに踏み込んだお話を伺うための訪問です。
説明会の様子からは、真面目、実直、そんなイメージの貝嶋医師でしたが、お近くで話を伺っていると、楽しく、茶目っ気のある人柄が感じられ、ホッとします。
さて、クリニックは2014年2月に開院から早7年目を迎え、患者さんたちの笑顔や喜びの声が幾重にも重なっていることが治療成績からもわかります。
年間治療周期が3000件を越え、患者平均年齢が40才を超すなかで、出生児が年間650人という現状は、やはり丁寧に治療をしている結果からなのでしょうか?
いいえ、そんなに生易しい言葉では語れない、厳しい部分があるのだと、貝嶋先生は話してくださいました。
丁寧に診ていれば妊娠率が
上がる、そんな簡単なことじゃない!
ここ数年で、患者さんの平均年齢が37~38才というクリニックが全国でもずいぶん多くなってきました。それは、晩婚化や晩産化が進む社会現象の1つの表れで、その現状は、不妊治療にも色濃く反映されてきています。
そのためか、さまざまな医師へのインタビューからは「丁寧に診ることの大切さ」が語られますが、それが追いつかない生命の原理に出会うばかりです。診療の丁寧さについて尋ねると貝嶋先生は、「患者の高年齢化に伴い、いくら丁寧に診たとしても妊娠率に反映されるかと言えば、そういうわけにはいかない」と説明します。丁寧に診療するのは基本的なこと、それよりも一つひとつのことを、どのように考えて、どのように判断しながら治療に当たるかが勝負になってくるといいます。
丁寧に診ても、判断が間違っていたり、ズレていたら結果はついてきません。それでは、妊娠へ導くことはできないのです。平均年齢が40才を超えているということは、半分以上が40才以上、つまり、妊娠をするには難しい方が多いということですから、状況的にも時間的にも、的確な判断が求められるわけです。
不妊治療は妊娠が目的ではなく、赤ちゃんを授かることにあるという強い意志と地道な姿勢があってこそ、結果として表れてくる。貝嶋先生の話は、そう感じるものでした。
いい卵子をつくるためには、悪い周期をつくらないこと
説明会でもお話ししましたが、結果を出すためには、いい卵子をつくることに徹することです。そして、いい卵子をつくるためには、悪い卵子をつくらないこと。悪い周期をつくらないことです。
悪い周期をつくる原因には大きく3つあって、そのうち2つは残念ながら治療によって引き起こされてしまいます。1つは、ホルモン剤を多量に投与することで月経周期が乱れてしまうこと。もう1つは、hCGの乱用で遺残卵胞を作ってしまうこと。そして、最後の1つがもともと月経周期が乱れている月経不順の場合です。
先の2つは、排卵誘発剤、排卵誘発方法によって引き起こされます。薬は正しく使わなければ、正しい効果を生みませんし、一見効果があるように見えて、実は悪化させてしまうこともあります。ですから、排卵誘発剤の多量投与によって多くの卵子が採れてもその後、卵巣機能が低下してしまう人がいます。もちろん、すべての人に起こるわけではなく、低下する人もいれば、回復する人もいて、これには個人差があります。ただ、年齢を重ねている卵巣は、回復が難しいケースが多くあるのです。
たった1回、排卵誘発をするのであれば、ガンガン排卵誘発剤を使ってもいいかもしれません。でも、そうでない場合にはなかなか機能が回復しない、その回復スピードが遅い人は、卵巣へのダメージが元に戻らないまま、次の排卵誘発が始まってしまうことになり、回復するどころか、さらに機能を低下させてしまうことにもつながるのです。
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